OSC JAPAN SECURITY NEWSBRIEF


June 10, 2020


 

<新型コロナウイルス対策における対応とセミナー中止のお知らせ>


当社は6月3日の「海外赴任前研修」について中止とさせていただきました。7月1日以降は開催予定です。


但し、御希望の方には、別途、安全対策の講義のみ実施させていただきます。ウェビナー(リモート研修)あるいは、少人数(3人以内)での対面式研修で実施致します。


希望される方は、メール( kenshu@globalsecurity.jp )にて当社にお問い合わせください。

 



目  次

[米国] シカゴ市 1日に18人が銃撃で死亡 過去60年間で最悪の記録
[ブラジル] 最高裁 保健省に新型コロナウイルスの累計感染・死者数のデータ公表再開を命令
[台湾] 中国空軍の戦闘機が台湾南西部の防空識別圏に侵入 台湾をけん制か
[インドネシア] 3月以降 犯罪発生件数は減少傾向 社会制限措置(PSBB)施行が関係か
[マレーシア] 本日から「回復のための活動制限令」施行 州境の検問所撤去
[インド] レストランやショッピングモールなど再開 徐々に封鎖解除へ
[チュニジア] チュニジア沖で難民を乗せた船が沈没 少なくとも20人死亡
[英国] 英仏海峡トンネル 仏側の英国境警備隊が移民の指紋採取に異議
[そのほか]
[6月9日に発出した渡航情報]

[米国] シカゴ市 1日に18人が銃撃で死亡 過去60年間で最悪の記録

シカゴ大学犯罪研究所は9日、同市で5月31日、高校生や大学生を含む18人が殺害され、過去60年間で1日あたりの殺人による死亡者数として最悪の記録になったと明らかにした。うち15人は銃器による殺害とされている。事件の発生場所は、犯罪多発地域である南部エリアと西部エリアに集中し、被害者は全員黒人だった。市内では同日、白人警察官による黒人男性暴行死事件の抗議デモや、デモに便乗した略奪が起きていたため、警察は事件や事故の通報があってもすぐに対応ができなかったとされる。また、緊急通報は約6万5千件あり、通常より約5万件も多かったという。市警察によると、29日18時から31日23時59分までに、92人が撃たれ、27人が死亡した。
(混乱時期は外出を控える:各国共通)
(コメント:シカゴの一部地域の治安の悪さを象徴する殺人事件の発生件数である。被害者に若者が入っていることや被害者がすべて黒人であることは驚きである。抗議集会、デモの混乱から様々なトラブルが発生したことが推測される。緊急通報の件数にもそのことが表れている。米国や世界で発生している人種差別に対する抗議活動は暴力に訴えることを止め、平和的な行動に訴える動きが主流になりつつあるが、治安の悪い所では混乱に乗じ犯罪や犯罪組織間の抗争が激化することもあり得る。週末には再び抗議集会が開催される国や都市がある。犯罪多発地域に近づかないことはもちろん、夜間、外出を止めて頂きたい。)
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[ブラジル] 最高裁 保健省に新型コロナウイルスの累計感染・死者数のデータ公表再開を命令

ブラジル最高裁判所は8日夜、政府が新型コロナウイルスの累計感染者数などの公表を中止した問題で、保健省に対し従来通り完全なデータを公開するよう命じた。これを受け、同省は9日、最高裁の判断に従い、新方式で死亡者数などを割り出した詳細なデータを公表する方針を示した。ブラジルでは5日、保健省が累計感染・死者数や致死率などの感染の推移を示したデータをウェブ上から削除し、24時間内の新規感染者数のみを公表、さらに一部データを非公表にすると発表したことから、「政府が感染状況の深刻さを隠蔽しようとしている」という非難の声が一斉に沸き上がっていた。ブラジルの累計感染者数は米国に次いで世界で2番目に多く、70万人以上に達している。
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[台湾] 中国空軍の戦闘機が台湾南西部の防空識別圏に侵入 台湾をけん制か

台湾の国防部は9日、中国空軍の戦闘機が台湾南西部の防空識別圏に侵入したと明らかにした。機種は「Su-30」だったとされる。意図は分かっていないが、台湾は香港から移住者を積極的に受け入れる姿勢を鮮明にしており、中国側が反発している。台湾では、1月に蔡英文政権の2期目が始まる中、先月に全人代で国家安全法の導入が承認される香港に支援を表明するなど、中国との間で政治的摩擦が激しくなっている傾向にある。一方、中国人民解放軍は8月、台湾と領有権を争う東沙諸島を支配下に置くことを想定した大規模な上陸訓練を予定しているとされ、中台関係の行方が懸念される。
(対立激化は必至:中国・台湾)
(コメント:香港の一国二制度が根本から揺るがされている中、台湾は香港民主派の支援を表明していることから、中国は当然のことながら反発している。中国は元々、一国二制度を認めない蔡政権に対し、様々な圧力をかけていたが、蔡政権の対中国姿勢は揺らぐことがなかった。香港の抗議デモや民主派に対する取締り状況から台湾国民は台湾でも同様のことが起こり得るとして、中国への警戒心を高めている。今後、中国は台湾に対してより圧力を強めていくことになろう。軍事的圧力も既に決められた方針であろう。軍の現場指揮官は忠実に実行していくものと思われる。両国関係はさらに緊張する可能性が高い。)
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[インドネシア] 3月以降 犯罪発生件数は減少傾向 社会制限措置(PSBB)施行が関係か

国家警察のアウィ報道官は9日の記者会見で、5月に全国で発生した犯罪の発生件数は1万4,179件で、前月(4月)の1万5,395件から7.9パーセント減少したと発表した。前月(4月)に関しては、前々月(3月)と比較すると、19.9パーセント減少しており、3月以降は一貫して減少傾向にある。また、一般犯罪、経済犯罪、越境犯罪など犯罪の種類を問わず減少しているという。インドネシアでは、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大防止に向けた「大規模社会制限措置(PSBB)」が、4月10日のジャカルタ首都特別州を皮切りに、ジャカルタ大都市圏(ジャボデタベック)、さらに地方の都市部へと順次施行されてきた。同報道官は、PSBBで外出規制などが施行され、さらに状況を監視するために警察官・国軍兵士が都市部の街頭に動員・配置されたことが、犯罪発生率の減少に関係しているとの見方を示した。
(規制緩和時期に注意:各国共通)
(コメント:新型コロナウイルス感染防止対策のために、長期間人の行動を規制し、治安部隊によるパトロールや検問による監視を強化すれば犯罪発生件数が下がることは当然のことである。インドネシア国家警察の報道官がこの間の犯罪統計を発表したが、犯罪件数が劇的に減少したとまでは言えないようだ。どんな環境下でも犯罪は繰り返されていることが分かる。今後、感染防止対策で取られている市民の行動規制が緩和されると犯罪は再び増加することが予想される。多くの国が感染予防対策の緩和政策を取り入れ始めている。観光客の受け入れを始める国もある。金に困った職業的犯罪集団も一気に活動を始める。行動規制緩和開始時期は犯罪に注意する時期でもある。)
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[マレーシア] 本日から「回復のための活動制限令」施行 州境の検問所撤去

マレーシアでは、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大防止のために全土に施行されてきた「条件付き活動制限令(CMCO)」が9日で終了し、本日(10日)から8月31日を期限とする「回復のための活動制限令(RMCO:Recovery Movement Control Order)」に移行する。RMCO移行後は、活動再開に関する手順書(SOP:Standard Operating Procedure)に従うことを条件に、ほぼ全ての社会・経済活動が許可される。また、RMCOの施行状況を監視するために州境の134ヶ所に設置されてきた臨時検問所も全て撤去される。ムヒディン首相が7日に発出した特別声明によると、RMCOは次の7つの基本戦略に基づいて施行される。(1)公衆衛生の強化、(2)法とその執行、(3)国境管理の強化、(4)経済セクターの完全な再開、(5)新しい生活規範(ニューノーマル)、(6)地域社会の責任強化、(7)(高齢者などの)高リスク層の保護。
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[インド] レストランやショッピングモールなど再開 徐々に封鎖解除へ

モディ政権は8日、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために実施していた封鎖措置を徐々に解除し始めた。同日から、レストランやショッピングモール、ホテルなどが営業を再開している。モディ政権としては、消費の回復に繋げ、経済の立て直しを実現したい狙いがある。しかしながら、インドでは未だ1日あたりの感染者数が1万人を記録するなど、感染拡大の勢いが収まっておらず、営業再開の施設に大勢の人が集まることで感染者がさらに増えるのではないかと懸念されている。インドでの累計感染者数は、既に25万人を超えている。
(コロナ禍の渦中にある国:各国共通)
(コメント:各国で新型コロナウイルス感染防止のために取られた規制が緩和される傾向にある。もちろん、感染者が増加中の国で規制緩和措置を取る国は少ない。インドは全土をロックダウンして感染予防策を長期間に亘って講じたが感染者の増加に歯止めがかかっていない。このような中でもレストランやショッピングモールが再開されるという。まずは食べて行かなければならないという現実問題に応じざるを得ないのであろう。新規感染者が1日に1万人近くに上る中、再開の決定に複雑な思いをされている邦人もいることと思われる。インドからの臨時帰国便が近々用意されるという。帰国を迷っているようであれば、帰国を選択することをお勧めしたい。)
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[チュニジア] チュニジア沖で難民を乗せた船が沈没 少なくとも20人死亡

チュニジア当局は9日、イタリアを目指していたアフリカの難民53人を乗せた船がチュニジアの沖合で沈没し、少なくとも20人が死亡したと発表した。湾岸警備隊などが行方不明者の捜索を続けている。同エリアでは昨年もヨーロッパを目指していたリビア発の船が転覆し、チュニジア沖でのケースでは最悪となる83人が死亡している。
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[英国] 英仏海峡トンネル 仏側の英国境警備隊が移民の指紋採取に異議

英国内の報道によれば、英内務省は、英仏海峡トンネルの列車で英国を目指す移民の指紋採取をフランス側のコレスに駐在する英国国境警備隊に命じたが、警備隊の労働組合(ISU)が職員と移民の両方に危険が及ぶとして実施に難色を示している。ISUによれば、以前は指紋採取が義務付けられていたが、指紋を採られたくない移民が自身の指を傷つける、また指紋採取中に暴れて職員を負傷させるなどの事案が相次ぎ、2010年にカレーで、その後コレスでも廃止された。欧州連合(EU)の「ダブリン規則」によって、英国は難民申請者をその難民が最初に入国したEU加盟国へ送り返すことができるため、内務省は、その移民が英仏海峡トンネルを通ってフランスから入国した証拠となる指紋の採取を目指すとしている。英仏海峡トンネルのフランス側にあるカレーには、新型コロナウイルス感染拡大防止の封鎖措置で行き場を失った難民が数百人とどまっており、英国行きのトラックや鉄道への不法乗車が後を絶たない。今年、小型ボートで英仏海峡を渡って英国を目指す移民の数はすでに2019年の総数を超えているとされる。



新型コロナウイルスに関連する最新情報は、毎日更新されているWHOのCoronavirus disease (COVID-2019) situation reports( https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/situation-reports 
)を参考にしてください。
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[そのほか]

[米国] バージニア州 白人至上主義団体KKKの男 抗議行動グループに車で突入し逮捕 男性1人が負傷
[米国] コロナウイルス集団感染の空母セオドア・ルーズベルト号 乗組員の抗体検査で400人の60パーセントが抗体を確認
[米国・英国] 英バイオテクノロジー企業 フロリダとテキサスに遺伝子組み換えしたネッタイシマカを放出予定 ジカ熱やデング熱等の発生を減少させる狙い
[中国] コロナウイルスの新たな感染者は3人(8日時点) 全員が海外からの持ち込み感染者
[中国] 北京市 市内での全てのコロナウイルス感染者の終息を宣言 最後の患者が8日に退院 54日間連続で市内発生の新たな感染者なし
[インドネシア] 6月1日の南カリマンタン州警察署テロ攻撃事件(警察官1人死亡 実行犯射殺) 実行を教唆したJADメンバー2人を逮捕
[カンボジア] プノンペン市内でのタイ人民主活動家(亡命中)「拉致」事件 カンボジア警察が関与否定 渋々捜査に乗り出す
[ミャンマー] 年初5ヶ月間 落雷事故で62人死亡 26人負傷 雨季に入ったこの時期からが警戒必要 防災局長「雷雨時の外出は危険」
[パキスタン] カラチ南部 5階建ての住宅ビルが倒壊 少なくとも18人死亡
[トルコ] 政府当局が2016年のクーデター未遂に関与の軍関係容疑者191人の拘束を命じる
[イスラエル] コロナウイルスにより冬期のインフルエンザワクチン不足が懸念 今冬はワクチン需要が約3倍になるとの予想
[イラン] 司法当局 イラン革命防衛隊ソレイマニ司令官の殺害に協力した米側のイラン人スパイに死刑判決 近く執行へ
[ナイジェリア・南ア] ナイジェリアのアビア州知事がコロナウイルスで陽性に 南アのヨハネスブルグ市長が側近の感染で自主隔離に
[ロシア] コロナウイルスの制限措置を段階的に緩和
[英国] チェシャー州 65歳の女性が盲目と身体不自由と偽り生活保護申請で15年間に100万ポンド(約1億3,700万円)を詐取 3年8ヶ月の禁錮刑に
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[6月9日に発出した渡航情報]

<外務省>
渡航勧告及び危険情報の更新・発令はありませんでした。

各情報の詳細は外務省海外安全ホームページ:https://www.anzen.mofa.go.jp/


<米国務省>
・ 全世界:「新型コロナウイルスに関する情報」の更新
「各国情報は、米国務省ホームページの各国ページで確認して下さい。」
・ コソボ:「デモ警告」の更新(6/10)
「6/10〜6/17にかけ、いくつか大規模なイベントが予定されている。6/12にはSkanderbeg Squareでイベントの予定。デモを避け、周辺では注意してください。平和的に行われていても暴徒化する可能性。」
・ コンゴ民主共和国:「危険情報」の更新(6/9)
「Bokasa近くのZandoマーケットとCentre Medical D’urgence(CPU)近くのKasavubuアベニューで、抗議者と警察の間で衝突が発生。同地域周辺に滞在中の場合、安全にその場を離れることができるなら立ち去るか、屋内に留まってください。」

各情報の詳細は米国務省ホームページ:https://travel.state.gov/content/travel/en/traveladvisories/traveladvisories.html
及びツィッター:https://twitter.com/travelgov/


<英外務省>
・ 全世界:「新型コロナウイルスに関する情報」の更新
「各国情報は、英外務省ホームページの各国ページで確認して下さい。」

各情報の詳細は英外務省ホームページ:https://www.gov.uk/foreign-travel-advice
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