| 平成19年度国建協の活動 |
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平成19年度国建協業務を振り返って
理事長 山川 朝生
わが国の緊縮財政の影響により公共事業費と並んでODA予算も近年縮小傾向が続いており、DACの発表によると2007年の日本のODA実績はついに独、仏にも抜かれて世界5位に転落しました。今年アフリカ開発会議やG8首脳会議を主催するわが国としてその援助政策が問われることになります。援助額の減少のみならず、「顔の見える援助」を担うべく活動している民間企業にとってビジネス環境がますます厳しくなっている現状も懸念されます。
平成19年度の国建協の業務としては、ODAの円滑、効果的な執行を目指して、JICA、JBICとの意見交換会、プロジェクトの発掘・形成、人材育成、研修事業などを実施しました。なかでも上述のような問題意識をもってODA事業実施上の諸問題、とりわけ無償資金協力事業の設計変更問題に海外建設協会とともに取り組みました。その結果、関係機関の理解を得て、物価変動の大きい国での設計変更や契約変更手続きの簡素化といった面で改善がされ、また、JICA、JBIC統合後には、年度単位での事業から複数年契約が可能となる見込みで更なる前進が期待されます。
国際交流にかかわる業務、国際協力あるいは国際化支援のための調査研究も精力的に実施しました。平成19年12月に開催されたアジア太平洋水サミットにおいて、拡大IFNetの総会を開催し、台風委員会、メコン流域委員会、ICHARM、アジア防災センターなどの国際機関との連携を深めることになりました。また、UN
ESCAPの地域会議等への参画に加え、OECD、中国土木工程学会、フランスISTED、北京市交通情報センター、英国レディング大学などとも連携を進めました。
ところで昨年度末には道路特定財源制度の延長問題をめぐる国会での激しい論戦の中で、思いがけず当協会が平成18年度に道路特会予算で受託した報告書の内容が取り上げられました。当協会としては真摯に業務を実施したものですが、部分的な事項が拡大されて一般に誤解を与えることになったのは残念であると同時に、今後の業務に大きな教訓として受け止めるべきものと考えております。いずれにしても、公益法人全体が新たな改革を迫られる中で、国建協としても現時点において役割を改めて見直し、その使命を果たすべく努力していく所存です。今後とも皆様の一層のご支援を心よりお願い申し上げます。 |
受託による調査・研究活動
平成19年度に国、政府機関等から受託した主な調査・研究事業のうち、主なもの(抜粋)をご紹介します。
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技 術 移 転 指 針 の 策 定 |
建設技術移転指針策定調査
途上国に対する援助に際しては、当該国の経済社会システム等の現状を勘案し、その発展段階に適切に対応した技術・施設を導入することが重要である。このため、本業務では都市、河川、道路、住宅の分野について、テーマごとに2年間をかけて技術移転指針のとりまとめを行い、効果的な技術移転を促進している。
1、災害復旧技術移転指針
日本の道路における土砂災害復旧技術を途上国に移転するにあたっては、日本の災害状況、復旧事例、災害対応マニュアル等の技術基準類を収集し、その特徴、長所を把握するとともに、対象となる開発途上国のニーズを把握することが肝要である。平成19年度は、初年度としてわが国ならびに途上国における災害事例や、復旧状況等の情報収集や技術ニーズの把握を行った。
2、今までに作成された指針や資料の英訳及び時点修正、整理
当協会が過去に作成した技術移転指針のうち、道路分野、河川・砂防分野及び都市・下水道分野の各指針(全28冊)の要約版の作成、ならびに時点修正を行った。既存の技術移転指針は、各々の指針を作成した当初に引用または参照した基準及び制度類の、その後の変更点に関する情報を整理することで今後も継続した利用が可能となる。
3、道路分野における技術移転指針国際ビジョン
道路分野の国際協力に携わる上で、新ODA大綱をベースとして効率的かつ効果的な活動を実現することを目的とし、道路分野の国際ビジョンを策定するものである。技術移転指針の効率的な活用に役立つことを考慮した「道路分野国際ビジョン−国際協力の手引き−」を作成した。本マニュアルは建設アタッシェや専門家の他、海外インフラ関連業務に従事する者への教育用の資料としても有効かつ容易に活用すべく、冊子の形態とした。
4、建設機械運転整備等技術
日本は、ODAによりこれまで数多くの途上国の社会インフラ整備を促進する目的で建設機械の供与、ならびに機材の保管施設や建設機械関連従事者の育成などの各種プログラムを無償資金協力や技術協力プロジェクト等で実施してきた。途上国における建設機械へのニーズは依然として高く、今後も引き続き日本の建設機械が海外で活躍する機会も多いと想像される一方、技術の進歩と共に機械は複雑化し、運転操作の多様性、高度な維持管理や整備・点検手法が要求されるようになっている。また、世界的な環境保全の流れや安全管理の徹底が求められる昨今、建設機械関連従事者の育成においてもこれらの視点を含めた技術協力の姿勢が求められている。
5、世界測地系移行技術
測地系とは、地球上の位置を経度・緯度・標高の座標で表わす際に定義する座標系を指し、地形図の作成のみならず、すべての測量の基準となるものである。各国ではこれまで、天文測量・三角測量・水準測量・重力測量など、様々な測地計測技術の枠を集めて自国の国土に最も適合すると思われる測地系を独自に定めてきた。しかし、近年のGPS技術に代表されるような宇宙測量技術の普及により、より精密でかつ隣国等の測地系とよく整合する、よりグローバルな世界測地系に測地系を定義し直す動きが各国測量局で顕著になっている。
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ODA、援助方針策定等に関する調査 |
援助方針策定調査
昨今、政府開発援助をより効果的、効率的に推進する観点から、被援助国のニーズをより的確に捉え、政府開発援助の基本的方向付けを明確にしつつ重点化を図り、これを踏まえて国際協力を企画、実行していくことが強く求められている、さらに、これらの取り組みはアカウンタビリティーを高める観点からも重要である。
平成19年度の調査では、スリランカを対象に、インフラ分野におけるわが国の援助の基本計画を作成した。作成にあたり、現地調査、相手国政府関係者との意見交換等を実施し、インフラ分野の現状と課題を把握するとともに、わが国も含めた各ドナーの援助実績、相手国の開発計画、他ドナーの動向、わが国の援助政策等を勘案した上で、わが国として向こう5年間程度を目途に援助すべき対象の絞り込みを行った。
ドイツの政府開発援助(ODA)の実態調査
ドイツのODA規模は101億ドル(2005年)と、米、日、英に続く世界第4位である。
仏英などの主要先進国は、国連常任理事国であると同時に広大な旧植民地経済圏を持ち、これら国家のODAは、旧植民地に対する影響力や経済圏の維持および新興国に対する市場の拡大といった外交戦略の側面も見られる。
ドイツは、旧植民地経済圏を持たない点でわが国と共通点がある。また、ドイツのODAはグラント重視の援助、二国間援助における対象国の重点化(絞込み)、所掌機関の中心に経済協力省を置いた体制、無償と有償の手続きの統一、技術協力と資金協力を司る二つの実施機関(技術協力公社GTZと復興金融公庫KfW)、など制度面の特徴がある。
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インフラ整備、公共事業に関する調査 |
インフラ分野のCDM事業実施促進にかかる下水・汚泥処理CDMプロジェクトの適用可能性検討業務
これまでに日本政府で承認されたCDM案件は200件を超えているが、その多くは省エネやバイオガス等を含む新エネルギー案件であり、最も排出量の多い建設・運輸分野では、案件の形成が殆ど進んでいない。
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国際建設フォーラム
国土交通省国際建設室と当協会は、関係機関の協力を得て、建設分野の国際協力・国際交流推進のための全般的情報交換および地球環境問題、大規模プロジェクト等、各国に共通する課題に関する情報交換を図るため、在日外国大使館の建設分野担当の外交官と国土交通省・関係機関等との交流の場「国際建設フォーラム」を実施している。
平成19年度は以下の講演会、プティフォーラムを実施した。
(1) 第28回講演会「災害時の事業継続」(平成19年10月15日)(参加者:48名)
講演および講演者:
「大規模地震時等における事業継続の確保について」
山後公二氏(国土交通省河川局災害対策室課長補佐)
「ハザードマップの総合化の取り組みについて」
野口哲秋氏(国土交通省河川局河川保全企画室課長)
(2) 第29回講演会「住宅金融システム及び建築物の安全性」(平成20年2月7日)(参加者:37名)
講演および講演者:
「日本における新たな住宅金融システム」
小林正宏氏(住宅支援機構住宅総合調査室主任研究員)
「建築物の安全性確保」
春原浩樹氏(国土交通省住宅局建築指導課企画専門官)
(3) 国際建設プティフォーラムin北関東「首都圏の水資源・交通に係る広域的なインフラ」
(平成19年11月29〜30日、参加者:35名)
首都圏は、日本全国の人口の約3割、4,000万人以上の人々が居住し、わが国の政治、経済、文化等の面で中心的な役割を果たしている。人口や機能が集中する首都圏においては人々の生活や産業を支えるために、広域的で大規模なインフラが整備されてきた。フォーラムでは、水資源や交通等に係る広域的なインフラとして、日本で最も長いトンネルである「関越トンネル」、日本で最大の堤体積を有する「奈良俣ダム」、世界最大級の地下河川で地下約50m、延長約6.3kmの「首都圏外郭放水路」等の視察を行った。(参加者:31名)
(4) 国際建設プティフォーラムin東京 「東京湾臨海部の防災・環境関連施設」(平成20年3月18日、参加者:38名)
防災・環境関連において臨海部「有明の丘」にある「国営東京臨海広域防災公園」を見学した後、船舶に乗船して閘門式運河の「荒川ロックゲート」、荒川沿いの「スーパー堤防」を見学した。また、臨海部の都市開発として都市再生機構が造船所跡地を複合的に開発した「ららぽーと豊洲」と、亀戸・大島・小松川地区市街地再開発を視察した。
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国際洪水ネットワーク(IFNet)の活動
世界各地で取り組まれている洪水対策に関する知識、技術、情報等を共有化し、洪水対策において国際協力を推進するために設立された国際洪水ネットワーク(IFNet)の活動としている。
IFNetは開かれたネットワークとして自由に参加できる形態をとっており、2007年11月末時点で517の国際機関、国家および地方政府の代表者、研究・教育団体、NGO、洪水関連活動にかかわる個人などが登録している。
@ IFNET会員等との情報交換・共有化
A 当協会から提供されるGFAS(グローバル・フラッド・アラート・システム:NASAがホームページ上で公開している複数個の地球観測衛星で観測された地球降雨情報を、洪水予報警報に活用しやすいよう、図化および確率評価による大雨情報として提供するシステム)による大雨情報の発信
B政策提言に関する活動 (GFASウェブサイト)
IFNet ウェブサイト(英文)
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途上国建設技術開発促進事業
日本で開発されている技術の中には途上国への適用が可能なものが存在すると考えられるが、途上国におけるその有効性は検証されていない。このような技術について、途上国における有効性を検証するためのプロジェクトをモデル的に実施し、有効性が検証された技術を広く途上国に紹介・普及することを目的として、国土交通省の委託による本事業を実施している。
平成19年度は、以下のプロジェクトを実施した。
(1) 雨水流出抑制・浸透技術(インドネシア 3年次)
バリ州水資源部が管轄するバドゥン川は、たびたび氾濫を繰り返し、2005年12月の氾濫では、市場、住宅、工場、道路等が冠水した。この対策の一環として、小規模流出抑制・浸透施設の現地への適用性について、現地実験を実施し、適用性、問題点、課題を把握するとともに、特にバドゥン川流域への適用可能性について併せて検討する。平成19年度は、本技術の施工要領を作成し、平成20年2月28日、デンパサール市内においてワークショップを開催し、技術の普及・促進を図った。
(2) 路上再生路盤・路床改良技術(ベトナム、2年次)
ベトナムは、ドイモイ政策により急速な経済成長を遂げ、経済インフラとしての道路網の整備を進め、現在では国道の舗装率が80%を超えるまでになっている。
(3) 新規案件の選定(フィリピン、ソイルセメント砂防構造物)
新規案件の選定については、提案のあった8件を幹事会および委員会で審議し、ソイルセメント砂防構造物(フィリピン)を採択した。
現地発生土にセメント等を添加することで、土砂材とコンクリートの中間の強度を発揮するソイルセメントは、泥流対策の遅れが指摘されるフィリピンで、その経済性やオンサイトでの急速施工性等から優れた効果が期待される工法である。
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講演会・セミナーの開催
(1) IDIセミナー
第40回「南アフリカへの援助の方向性」
(2) その他
海外建設工事の契約管理セミナー
中国道路交通講習会
ロシア技術セミナー
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研修事業
(1)「河川およびダム工学Vコース」(JICA委託)
(2)台湾研修(1件、参加者3名)
・ 都市再生地区の不動産管理戦略
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