第44回「小沢海外功労賞」受賞者

当協会は、第44回「小沢海外功労賞」の受賞者として個人3名及び法人1社を選出した。
「小沢海外功労賞」は、当協会初代会長 故 小沢久太郎氏の醵金をもとに、同氏の国際協力にかけた情熱を永く記念するために昭和55年に創設され、海外での国土開発または建設分野の国際協力に功労のあった個人・法人を表彰するものである。昨年度までに、個人184名、法人52社が表彰されている。
第1回~第43回受賞者(PDF)

第44回「小沢海外功労賞」受賞者

石坂 隆 氏

(株)安藤・間 国際事業本部 土木部 海外土木作業所 フェロー

石坂氏は、通算31年に亘り海外駐在し、8か国、12件の海外土木プロジェクトに従事した。
アジア地域におけるインフラ未整備の山岳地域等では資機材輸送に大苦戦したが、限られた調達環境の中で創意工夫し、現地協力会社、労働者、地元住民との信頼関係を構築し、現地リソースを最大限活用し工事を完成させた。2017年着工のハイチ国「クロワデミッション橋梁及び新線橋梁架け替え計画」では内紛や新型コロナ流行による物流の停滞等により、工事が何度も中断した。この困難の中で同氏は、PMとして従事し日本大使館、現地JICA事務所、地元住民の協力を得て、無事無災害にて工事竣工にこぎつけた。同工事は国土交通省第7回JAPANコンストラクション国際賞建設プロジェクト部門最優秀賞、第2回OCAJIプロジェクト賞を受賞した。

永野 信之 氏

日本工営(株) 流域水管理事業本部 上下水道設計部

永野氏は、海外での施工監理業務を中心に従事し、途上国への赴任年数は通算34年を超える。
スリランカ国における「大コロンボ圏水辺環境改善事業」では、施工監理・竣工まで従事し、スリランカ土地埋立開発公団等の関係機関と緊密に連携して事業を完遂させた。ベトナム国「ハノイ水環境改善事業」においては、浸水及び都市衛生の改善を通して同市の経済発展に大きく寄与した。同氏は総括として、工事用地の取得、既存社会インフラの移設、不発弾の撤去等の困難な課題がある中、同市の事業実施機関と緊密に連携し解決し事業を完成させた。また、「ホーチミン市水環境(下水・排水)改善事業」では、本邦企業による市街地の管路整備の施工監理を行い、発注者やコントラクターと連携し、工事の円滑な実施に貢献した。

眞井 隆二 氏

(株)オリエンタルコンサルタンツグローバル 軌道交通事業部 プロジェクト部長

眞井氏は、46年に亘り海外インフラ整備に従事し10件の多様なプロジェクトに参画し、調停や仲裁を含む紛争解決に実務的に関与し、紛争処理スキルを培った。
2002年以降は、ODA案件であるバングラデシュ国及びベトナム国の高速道路案件に従事し、FIDIC契約約款に基づく「ザ・エンジニア」の立場として、契約管理や紛争手続きに関与した。2017年からはインドネシア国「ジャボデベックLRTプロジェクト」においてPMを務め、詳細設計及び製作図の審査、土木・建築・電気機械・無人運転鉄道システム工事の施工監理を主導し、プロジェクトを完遂した。2024年からはフィリピン国「南北通勤鉄道事業」において、PMとして従事しており、これまで数多くの資格を取得し、公的表彰も多数受けた。

戸田建設株式会社 (法人)

代表取締役社長 大谷 清介

半世紀に亘り、日本のODA事業を通じ、アフリカ・アジア・南米地域の計20か国で、120件以上の案件に施工者として参画し、地域社会の発展に大きく貢献してきた。同社の取り組みは、教育、人材育成、保健医療サービスの質的・量的向上のみならず、雇用創出、技術移転、ライフサイクルコスト低減、安全意識の向上と多岐に亘り、社会的価値の創造を重要課題としてきた。コートジボワール国「ココディ大学病院整備計画」では、過去に別の案件で技術指導した現地企業3社と契約し、約400名の作業員を雇用し、同国の雇用創出に貢献した。品質の確保にもこだわり、コンクリートを例にとると、強度試験を行う機材を現地に持ち込み、打設するたびに強度試験を実施し、日本式の厳格な品質管理を現地に適用した。同社は多年に亘り、日本がG20各国とともに推進する「質の高いインフラ投資」の実現において顕著な実績を残し、現地ニーズに即応して地域社会へ持続的インパクトを与え続けている。